天皇の公的行為をめぐっては昨年12月、政府が「1カ月ルール」を破って天皇陛下と中国の習近平国家副主席の特例会見をセットし、「天皇陛下の政治利用」だと批判された。これを受け、平野博文官房長官が1月の衆院予算委員会で公的行為に関する政府見解を出すと表明していた。
政府見解は、公的行為の基準について「各行事等の趣旨・内容のほか、天皇陛下が御臨席等をすることの意義や国民の期待など、様々な事情を勘案し、判断していくべき」だとした。また、公的行為に対する内閣の責任を「天皇の公的行為が憲法の趣旨に沿って行われるよう配慮すべき責任を負っている」と表現した。
平野氏は25日の記者会見で「本来、憲法で言っている概念からいくと、天皇は国政に関する権能を有しないので、政治利用が存在することはあり得ない」と強調し、政治利用の論議自体を否定した。
これに対し、共産党の志位和夫委員長は「天皇の政治的利用への歯止めがあいまいだ」と批判。自民党の谷垣禎一総裁は「象徴天皇のデリケートさというものに対して、まったく何の配慮もない。噴飯モノの解釈だ」と述べ、石破茂政調会長も「(公的行為の)ルールはいらないというなら、憲法の趣旨や陛下の立場を無視した考えられない見解だ」と指摘した。
■大原康男国学院大学教授の話
「政府見解は歴代内閣の国会答弁などによって固められた見解を一通り再確認しているので、内容的に見れば問題ない。ただ、言及すべき事柄がある。第1に、公的行為は天皇のご意思が大きな意味を持つこと。第2に、公的行為の責任を第一義的に負う宮内庁は内閣府に属するといっても、長官は(天皇が任命する)認証官という重職だ。他省庁の次官らに対するように、官房長官や首相が機械的に指揮命令を発動できるものではない」
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